カテゴリー: 嶋のブログ

  • 登場人物に自分を重ねて視聴した地面師たち

    登場人物に自分を重ねて視聴した地面師たち

    「地面師たち」
    不動産業界でも話題になりましたね。
    売主に成りすまして買主から売買代金をだまし取る詐欺のお話です。
    実話をもとに作られた作品ですから現実に近い様子が多く描かれていて視聴していて楽しかったですし勉強になる部分もありました。

    私は、地面師にお会いしたことないんですが、怪しい相談者にお会いしたことはあります。

    「相続する不動産の売却相談に乗ってほしい。」
    相談者Aはアポイントもなく急遽ご来店いただいた方でした。
    この相談者Aは、亡くなったお父様から相続する物件を使う予定が無いので売却を考えており、相続手続き中とのことでした。
    これまた、この物件の場所が、都内でマンションやホテルが建築できそうな好立地だったんですよね。
    「相続のお手続きはどのような状況ですか?」
    と私が尋ねて、
    「司法書士に任せてるから大丈夫だよ。」
    との回答を得たときにちょっと怪しいと思いました。
    相続予定人にこの質問をしたときには、戸籍を集めている段階とか遺産分割協議中だとか、司法書士に任せていても経過を説明していただけることが多いのです。
    しかし、売主が本物ならばぜひ取引したいとの気持ちも消えず、その司法書士の名刺のコピーをいただき、その日はお帰りいただきました。

    謄本をとり、役所調査を行い、現地も下見して、物件はやはり優良でした。
    そして、私の中の疑う気持ちを薄めて、あの司法書士事務所へ連絡を入れました。
    「相談者Aの相続手続きを担当している方をお願いします。」
    そのように伝えて、時間をおいて返ってきた回答は、
    「相談者Aという方は当事務所で対応しておりません。」
    …。
    初回面談の内容を詳しくお伝えするも回答は変わりませんでした。

    後日、改めて相談者Aと面談を行いました。
    司法書士へ電話を入れて相談者Aの相続手続きは担当していないと言われたことを伝えると、嶋の電話の仕方が悪かったんだとか、いいから買い手を早く見つけてこいとか、一方的に罵られました。
    「これはダメだ…。」
    そう決断した私は、何を言われても「弊社ではお取り扱いできません。お引き取りください。」という姿勢を続け、諦めた相談者Aは最後に私を睨みつけて事務所を出ていきました。

    もしかしたら本物の売主だったかもしれませんし、他の不動産会社ならもっとうまく対応していたのかもしれません。
    しかしながら、質の悪い反響を引いてしまうのは接客する側の課題で、頑張っているのに仕事の効率が悪くなり売り上げも落ちて精神的な負担も増えてしまうと思うんです。
    そして、早く体制を見直さないと良いお客さんも離れていってしましますから、私程度の者はこの対応をするしかありませんでした。

    ちなみに約2年ほどが経過して、その物件の登記簿をあげてみたら、登記名義人は変わっていませんでした。

    と、過去を振り返りながら、登場人物に自分を重ねて、地面師たちを視聴させていただいたので、とても印象に残る作品となりました。

  • 売却戦略を見直すことで、反響状況が変わるかもしれませんよ

    売却戦略を見直すことで、反響状況が変わるかもしれませんよ

    老朽化が気になる戸建や相続した空き家の売却相談をいただくとよく話題になるテーマです。

    不動産の売却活動は、ポータルサイトや不動産流通機構(REINS)へ登録して買主様を募ることが多く、これらは「土地」「戸建」「マンション」等を選択して物件情報を登録するシステムになっています。

    売主様が建物を解体し買主様へ引き渡すいわゆる更地渡しであれば迷うことなく「土地」に登録するんですが、そうでないときに「土地(古家付き土地)」「戸建」どちらに登録すればいいのか。

    私は、まずどちらに登録した方がより高く売れそうか(より手残り額が多く残りそうか)調査を行い提案します。

    次に、建物や設備について、売主様による不具合や経年劣化等の告知および契約後の契約不適合責任による修補請求等について、売主様の意向を確認するようにしています。

    この点については、買主様との合意により売買が進んでいきますので、売却活動時に確定するものではありませんが、どちらに登録をするのか重要な判断材料になると考えています。

    同業者と話をしていると「土地で登録をしたら更地渡しが当たり前だろ。」という意見もありますし、「契約不適合責任は免責」とコメントを入れて売却活動をしている戸建も見受けられますので、不動産屋さんによって意見は割れると思いますが、私の考えは、建物について告知義務や契約不適合責任を負えないのであれば、古家付き土地として売却活動をした方が得策と判断しています。

    そこで、建物を使いたいと反響をいただいた際は、「売主様は解体前提の売却を希望しているので使う壊すはお客様の判断でお願いします。しかし建物について売主様は一切の責任を負いません。」とお伝えし検討してもらうことにしています。

    しかし、「戸建」で登録をするべき物件は戸建として売却活動を実施した方が売れやすいですから、責任を負いたくないという意向だけで古家付き土地に登録することはやめた方がいいです。今は建物状況調査を利用できますし、戸建で登録した物件は、建物や設備の告知義務および契約不適合責任を負って売却を進めるべきでしょう。

    もし、売却活動が長期化していれば、このような売却戦略を見直すことで、反響状況が変わるかもしれませんよ。

  • 人目も気にせずドアをノックし続けました

    人目も気にせずドアをノックし続けました

    私が仲介した土地の売買で、その物件の前面道路が私道のため、私道通行掘削承諾書の取得が決済条件となった案件の話です。

    物件は、事前に道路を除く隣地との境界整備を終えており、買主様が具体的になってから私道通行掘削承諾書を取得する計画で進めていました。

    私道の登記簿を確認したところ登記名義人は売主様を含め30人。
    つまり29名から承諾を得なければなりませんでした。

    そして、私道通行掘削承諾書の取得をどう進めるかについて売主様と協議したところ、私がこの作業の窓口となり対応することになりました。

    売主様は、私道所有者とはまったく交流がないと申しており、まずは29名の登記簿上の住所を確認し、1軒1軒訪問するしかありませんでした。

    事前に手紙を投函したうえで訪問した初日に過半数の方とお会いし、これだけ共有者が多いと過去の承諾を思い出したのか快く承諾をいただき、幸先の良い結果にほっとしました。

    でも、始めにインターホンを鳴らして要件をお伝えしたときの警戒感はすごかったですね。世の中にこれだけ悪質な訪問販売等が横行していれば致し方ないかもしれません。

    また、宅地は相続登記が済んでいるのに、私道は相続登記を済ませていない方が散見されました。相続登記は滞りなく済ませましょうね。

    話を戻します。

    その後、足繁く通い続け、約1か月で26名の承諾が揃いました。

    残り3名、日を変え時間を変え訪問しても留守のようで…。

    在宅のタイミングがつかめないため、残り3名へレターパックを送付し郵便屋さんが郵便物をお渡しできるのか試みたところ、2名の方には届いて訪問日時の連絡もあり、これで28名の承諾が揃いました。

    レターパックも差し戻されてしまった残り1名…。

    もしや所有者不明の空き家なのか…。

    とにかく足繁く通うしかありませんでした。

    ある日、ご近所さんとお話する機会があったので、どうしたら会えるのか尋ねてみたところ、「あ、その家のインターホン壊れてますよ。あまり外出しているのを見かけないけどドアをしつこくノックすれば出てくるかも。」とのことでした。

    どうりでインターホンを押しても手ごたえがなかったわけです…。

    それから人目も気にせずドアをノックし続けました。
    たぶん30分くらい…。

    すると中から残り1名の方が出てきてくれて、事情を話せば快く承諾ををいただき、無事、29名の方から承諾を得られました。

    他の仕事もこなしながらとはいえ、ここまで約2か月かかりました。

    売買契約では、私道通行掘削承諾書の取得は白紙解除条項とすることが多いので、私道に接道する物件の売却をお考えでしたらご用心ください。

  • 重要事項説明書や売買契約書は誰が作るのか?

    重要事項説明書や売買契約書は誰が作るのか?

    不動産売買の際に用意される重要事項説明書と売買契約書。

    これらは誰が作るべきでしょうか?

    仲介業者が介在していればその仲介業者にて作成されると思いますが、私が仲介した案件で、買主様が重要事項説明書と売買契約書を作成した取引がありました。

    宅建業者である買主様から自社の書式を使用して契約を進めてほしいと申し出があり、そして、買主様が作成した重要事項説明書の案文と売買契約書の案文が届いて…。

    一番気になったのは、売買契約書に「売主の告知」に関する条文が入っておらず、買主様は「契約不適合責任が免責なんだから問題ない」と主張してきたことでした。

    慣れている方であればすぐに気づくと思いますが、契約不適合責任が免責であっても、契約後に契約不適合が発見された場合、売主様が告知したことを書面等に残していなければ、売主様に対し不実告知や事実不告知を主張してトラブルに発展する可能性があります。

    ただし、弁護士案件等で売主が告知を行わない契約をしたことはあったので、今回の売買契約書に合わせて特約を作成しました。

    これには買主様の了承をいただくことができ、売主様も安心して取引を進めることができました。

    それともう1つ気になったことは買主様と契約書類のやりとりをしていると「うちはいつもこのやり方なんだ!」と強引に私を説き伏せようとしてきたことです。

    答えになっていません。

    重要事項説明書においても、抜けている説明事項を根気よく解説し修正していただきましたが、やはり説明を受ける側がその説明書を作るのはちょっと不自然ですよね。

    こういうやりとりを経験すると、やはり不動産取引に仲介者は必要だなと感じますし、不動産取引は、仲介者を介さなくても進められますが、契約書類に落とし穴があると痛い目に合うかもしれませんのでご用心ください。

  • 残念ながら多くの宅建業者は仲介手数料を確定させたいので…

    残念ながら多くの宅建業者は仲介手数料を確定させたいので…

    不動産売却を依頼するときの媒介契約書の種類は「専任媒介契約」がいいのか、「一般媒介契約」がいいのか、不動産業界にいると昔からよく耳にしますね。

    宅地建物取引業法第34条の2
    宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買又は交換の媒介の契約を締結したときは、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を作成して記名押印し、依頼者にこれを交付しなければならない。

    宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方(一部抜粋)
    宅地建物取引業者は、媒介契約の締結に先立ち、媒介業務を依頼しようとする者に対して、不動産取引の全体像や受託しようとする媒介業務の範囲について書面を交付等して説明することが望ましい。

    かみ砕いて言えば依頼内容が確定したら宅建業者は媒介契約書を作成し売主様へ交付しなさいとも読み取れます。

    私はこの依頼内容は売主様の売却プランだと考えています。

    私が売却プランについて確認する主な項目はこんな感じです。
    ①希望する売却後の手残り額
    ②引渡期限の有無
    ③引渡し条件(測量の有無・古家解体の有無等)
    ④どういう販売活動を実施するか
    ⑤市場動向や対象物件の流通性

    売主様の売却事情や対象となる物件によって確認する項目は変わってきますが、売却プランを具体的にしてから、それに合った媒介契約を提案するようにしています。

    つまり、売主様の依頼内容が具体的になっていないにもかかわらず専任媒介契約か?一般媒介契約か?悩む必要はないんです。

    残念ながら多くの宅建業者は、仲介手数料を確定させたいので、売却プランの打ち合わせを端折り一方的に媒介契約締結を急かすようですね。

    専任媒介契約は1社にだけ依頼できて一般媒介契約は数社に依頼できるけど~という話は宅建業者側の都合です。

    売主様の目的は「売買契約」であって「媒介契約」ではありませんからね。

    これから不動産の売却をお考えの方や売りに出しているけど買い手がつかないことに不満がある方は、まずは売却プランについて、親身になって相談に乗ってくれる宅建業者や担当者を探してみてはいかがでしょうか。

  • 仲介手数料無料ってどう思いますか?

    仲介手数料無料ってどう思いますか?

    物件を探している人はインターネットやチラシで物件情報を確認して問い合わせる形が多いのではないでしょうか。

    ここで忘れずに確認してほしいのが物件概要欄にある「取引態様」の項目です。

    取引態様は仲介や媒介となっていることが多く、物件を買ったり借りたりするのを検討するだけではなく、その広告を掲載している不動産会社へ仲介業務を依頼するかも検討することになります。

    仲介業者は不動産取引をサポートすることが仕事であり、円滑に取引を進めるための「仲介責任」を負うことになります。

    簡単にいえば、仲介業者がいるんだから取引が円滑に進んで当たり前、何か不測の事態が起これば仲介業者へ仲介責任を問うことになります。(もちろん仲介業者側に落ち度があればの話ですが…)

    仲介業者がお客様から仲介責任を問われ裁判になった例はたくさんありますので、興味ある方は一般財団法人 不動産適正取引推進機構 | RETIO判例検索システムをご覧ください。

    一般財団法人 不動産適正取引推進機構 | RETIO判例検索システム不動産取引に関する紛争の未然防止を図るとともに、消費者の保護と宅地建物取引業の健全な発展に寄与することに努めておりますwww.retio.or.jp

    多くの仲介業者は仲介責任を負う報酬として仲介手数料をお客様から頂戴するという意識で仕事をしています。

    ですので私は取引態様が仲介なのに仲介手数料無料をうたって集客している業者の考えが理解できません。仲介責任を負う気がないのか…?

    綺麗な物件で取引がシンプルに見えても、何か不測の事態が起こったらどうするんですか?

    仲介手数料を払っていないのに仲介責任を問いますか?

    そのための仲介業者でありその対価として仲介手数料の授受があります。

    特に不動産取引に慣れてない方は、ちゃんと仲介責任を負ってくれる仲介業者をたてて取引を進めるという感覚を身につけてください。

    また他の仲介業者の対応に困って弊社へご相談いただくお客様が増えておりますので何かお力になれることがあればお気軽にお問い合わせください。