買主様向け①|仲介サービスの質って不動産会社や担当者によって…

私は売買仲介歴が長いんですが、不動産買取業に従事していたこともあり、実際に買主、売主の立場で他社の仲介サービスを利用する側の経験も積んできました。

仲介サービスの質って不動産会社や担当者によってばらつきがありますよね。

そこで、不動産を買う時の購入申込み~売買契約までに、仲介サービスを利用する側として私自身が気を付けていることを記事にしましたので、不動産売買に慣れていない方のお役に立てれば幸いです。

不動産の購入を申し込む

購入申込みとは、物件の売主様(売却条件)に対して、購入の意思表示(購入希望条件)を伝えることをいい、購入申込みは、金額だけではなく、日程や決済条件等も記した購入申込書を提示するようにしています。

決済条件も細かく書いた方が、売主様にも誠意が伝わり、交渉事があったとしても、円滑に協議が進んでいくような気がしているからです。

ただし、一般の方だと決済条件を独自に判断することは容易でないと思いますので、私が仲介をする場合は、売買契約書のひな型を使ってこの通りに進めるのか否かを確認しながら決済条件を検討してもらっています。

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全日本不動産協会の売買契約書ひな型
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全日本不動産協会の売買契約書ひな型

さて、購入申込み後に売主様と売買条件が合意したら、いよいよ売買契約を締結する流れとなり、宅建業者が売主や仲介の立場でいれば、売買契約締結前に重要事項の説明を受けていただくことになります。

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全日本不動産協会の重要事項説明書ひな型

重要事項説明書に記名押印すれば、実は説明内容を理解していなかったという主張が通りにくくなりますので、安易に記名押印してはいけません。

重要事項説明書のひな型を使って、私が実践している重要事項説明で仲介業者へ確認すべきポイントを書いていきますので、実際にその場面でご活用ください。

不動産の表示~登記記録に記録された事項

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全日本不動産協会の重要事項説明書ひな型

まず、売買の対象となる物件を特定する情報(物件が登記されていればその内容)の説明から始まります。
この時に買主様は、物件の登記簿だけでなく、住宅地図、公図、地積測量図、建物図面、固定資産評価証明書等を確認しながら説明を受けるようにしてください。私は建築時の資料等もあれば、これらも確認しながら説明を聞くようにしていますよ。
この作業により、土地の情報が現況と相違していないか、他に漏れている土地の筆がないか、建物の情報が現況と相違していないか、未登記建物がないか、このような事態に気付くことがあります。
土地権利が借地権の場合は、土地賃貸借契約書等を確認しながら借地権の内容の説明を聞いてくださいね。賃借権の場合は賃借権譲渡承諾書の案文があるはずですから、これも事前に確認しておいた方がいいでしょう。
なお、測量図は、測量図の呼び方と図示される内容が担当する土地家屋調査士によって認識が異なりますので、買主様が希望する測量図を準備してもらえるのか念入りに確認してください。

次に、売主様が登記名義人(登記されている物件の所有者)と一致しているのか否か説明してもらいます。一致していなければ、売主様が売主(所有者)であることの裏付けを仲介業者がどのように確認したのかが大事なポイントになりますので注意してください。売主様と登記名義人が一致しない例としては、住所・氏名の変更登記が未了、相続登記が未了等があります。

その下にある第三者の占有については、物件を誰かに貸している等の場合の説明事項です。物件を誰かに貸している状態で売買が進むのであれば、賃貸借契約の内容や賃借権負担付き売買はどういうものなのかについても説明してもらいます。

そして、右ページに移動して、登記名義人および所有権や抵当権等の権利関係の説明を受けます。物件の引き渡し時に、売主様から買主様へ所有権移転できる状態か否か、抵当権や地役権等が設定されていれば、買主様はどのような状態で引渡しを受けるのか等を説明してもらいます。
また、この内容は、重要事項説明の日に近い日付で取得した登記簿を基に説明を受けることが一般的ですので、何月何日現在の情報なのかも忘れずに確認するようにしてください。

都市計画法に基づく制限、建築基準法に基づく制限

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全日本不動産協会の重要事項説明書ひな型

都市計画法や建築基準法の制限の内容は、買主様の購入目的や、将来土地の価値の増減に及ぼす影響が大きいため説明欄が広くとられています。
東京23区は市街化区域ばかりなんですが、地域によっては建築物を建築しにくい地域や建築してはいけない地域がありますので注意してください。
また、都市計画施設(都市計画道路による道路の拡幅等)や市街地開発事業(土地区画整理を施行すべき区域等)は、購入物件や周辺環境に影響を及ぼす場合がありますので、しっかりその内容を理解するようにしてください。

次に出てくる建築基準法に関する制限について、私は、以下の観点で説明を聞くようにしています。

  1. 購入する物件で建築基準法違反の疑いはないか?
  2. 今後、建て替えを希望する場合に同程度かそれ以上のものが建ちそうか?
  3. 更地を購入する場合に希望する建築工事や造成工事ができそうか?
  4. 自分が希望する物件の利用方法について制限は生じないか?

実際に建築計画がある買主様は建築士さんにお任せかもしれませんが、ここで説明を受ける建築基準法に基づく制限は最低限買主様に理解してほしい項目ですので、聞きなれない言葉や理解しずらい内容があれば遠慮せずに宅建士へ質問をして買主様の購入目的が達せられるか否か確認するように努めてください。

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