人目も気にせずドアをノックし続けました

私が仲介した土地の売買で、その物件の前面道路が私道のため、私道通行掘削承諾書の取得が決済条件となった案件の話です。

物件は、事前に道路を除く隣地との境界整備を終えており、買主様が具体的になってから私道通行掘削承諾書を取得する計画で進めていました。

私道の登記簿を確認したところ登記名義人は売主様を含め30人。
つまり29名から承諾を得なければなりませんでした。

そして、私道通行掘削承諾書の取得をどう進めるかについて売主様と協議したところ、私がこの作業の窓口となり対応することになりました。

売主様は、私道所有者とはまったく交流がないと申しており、まずは29名の登記簿上の住所を確認し、1軒1軒訪問するしかありませんでした。

事前に手紙を投函したうえで訪問した初日に過半数の方とお会いし、これだけ共有者が多いと過去の承諾を思い出したのか快く承諾をいただき、幸先の良い結果にほっとしました。

でも、始めにインターホンを鳴らして要件をお伝えしたときの警戒感はすごかったですね。世の中にこれだけ悪質な訪問販売等が横行していれば致し方ないかもしれません。

また、宅地は相続登記が済んでいるのに、私道は相続登記を済ませていない方が散見されました。相続登記は滞りなく済ませましょうね。

話を戻します。

その後、足繁く通い続け、約1か月で26名の承諾が揃いました。

残り3名、日を変え時間を変え訪問しても留守のようで…。

在宅のタイミングがつかめないため、残り3名へレターパックを送付し郵便屋さんが郵便物をお渡しできるのか試みたところ、2名の方には届いて訪問日時の連絡もあり、これで28名の承諾が揃いました。

レターパックも差し戻されてしまった残り1名…。

もしや所有者不明の空き家なのか…。

とにかく足繁く通うしかありませんでした。

ある日、ご近所さんとお話する機会があったので、どうしたら会えるのか尋ねてみたところ、「あ、その家のインターホン壊れてますよ。あまり外出しているのを見かけないけどドアをしつこくノックすれば出てくるかも。」とのことでした。

どうりでインターホンを押しても手ごたえがなかったわけです…。

それから人目も気にせずドアをノックし続けました。
たぶん30分くらい…。

すると中から残り1名の方が出てきてくれて、事情を話せば快く承諾ををいただき、無事、29名の方から承諾を得られました。

他の仕事もこなしながらとはいえ、ここまで約2か月かかりました。

売買契約では、私道通行掘削承諾書の取得は白紙解除条項とすることが多いので、私道に接道する物件の売却をお考えでしたらご用心ください。

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