重要事項説明に関する記事は、あえて読みやすさにこだわらない方針で書いてきました。
「つまらない」「読みにくい」という感想があることも、動画等でわかりやすく解説している人がいることも承知しています。
しかし、重要事項説明書を棒読みするだけで買主様へ説明をしている姿勢が感じられない宅建士がたくさんいますので、字面や書類の雰囲気に慣れてもらい、疑問点や不明点に気付く力をつけて、棒読み宅建士に対して遠慮なく質問できるような構成にしたつもりです。
不測の事態が起こった際に「なんで説明を聞いているときに確認しなかったんだ」と言われないようにしてくださいね。
重要事項説明書のひな型を使って、私が実践している重要事項説明で仲介業者へ確認すべきポイントも最後になりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
損害賠償額の予定または違約金に関する事項~備考


まず、売主様もしくは買主様が売買契約において約束したこと(物件を引渡す・売買代金を払う等)を守らなかった場合の違約金(損害賠償額)について説明があります。違約金請求までの流れはこの手順をご参照ください。
- 相手方が約束を守ってくれない
- 相手方に約束を守ってくれと伝える
- 約束を守ってくれるか期限を決めて待つ
- それでも約束を守ってくれなければ契約解除に進む
- これを理由に契約解除することにつき違約金(損害賠償額)を相手方へ請求する。
まずは買主様自身が売買契約において約束したことを守れるか確認しながら説明を聞くようにしてください。
次は、宅建業者から物件を購入する場合の話で、売主様が宅建業者である場合には、宅建業法に基づき様々な制限がありますので、手付金の授受等について宅建業法違反がないか買主様自身でも確認しながら説明を聞くようにしてください。
その次は、融資利用の特約をつけて売買契約を締結する場合の話で、融資先や融資条件の確認と合わせて「融資承認期日」と「融資利用の特約に基づく契約解除期日」の違いを理解し、いつまでに融資の承認を得なければならないのか混同しないようにしてください。
その次は、売主が、売買契約後の契約不適合(欠陥や不具合等)責任を果たすために保険に入っていればその説明があります。特に新築住宅を購入する際は、詳細な説明がありますので、不測の事態に備えてよく説明を聞くようにしてください。
その次は、売買契約~残金決済・引渡しまでの間に売主様が測量を実施し、売買契約書に記載の地積と差異が生じた分を売買価格で調整する場合の話です。購入申込み時や交渉時に仲介業者から説明を受けていると思いますが、買主様の購入目的や資金計画に影響を及ぼす内容ですので改めて内容を確認してください。
支払金または預り金の保全措置や割賦販売は私が不動産業界に入ってからは経験がありませんし、一般の方の不動産取引では採用されていないようなので、この分野は気にしなくていいと思います。
そして、最後にこの重要事項説明書に添付される資料の説明があり重要事項説明が終了となります。添付資料の内容も頭に入れておくようにしてくださいね。
ただし、物件や取引の内容によって買主様へ説明する内容は宅建業法で定められた説明項目に留まらずまだまだ説明事項がたくさん出てきます。
「その他重要な事項」「備考」に説明が書いてある場合は、ここにも買主様の購入目的や資金計画等に大きな影響を及ぼすことが書かれていますので、最後まで頑張って説明を聞くようにしてください。
区分マンションの購入で確認するポイント
これまで記事に使ってきた重要事項説明書ひな型は土地戸建用のものであり区分マンションに関する項目がありませんでしたので、区分マンションについても少し書きたいと思います。
区分マンションは管理を買う時代とも言われるようになりました。
私がマンション全体の管理について確認しているポイントを箇条書きにしましたのでお役立てください。
- 管理費・修繕積立金・その他維持費の金額および改定予定
- 管理費・修繕積立金・その他維持費の滞納額(対象住戸・全体)
- 大規模修繕工事の履歴および実施予定
- 長期修繕計画表の有無
- 共用部分等の修繕履歴
- マンション全体の管理を外部の管理会社へ委託しているか否か
- 委託していればその管理会社の内容
- テレビの視聴方法
- インターネットの利用方法
- 駐車場の空き状況・駐車できる車の制限・使用料
- 駐輪場(バイク置場)の空き状況・駐輪できる自転車の制限・使用料
- 住戸の用途制限(最近は民泊の可否が話題ですね)
- 住戸でリフォーム工事を行う際のルール
- ペットの飼育可否と飼育細則の内容
- その他、管理規約において買主側の購入目的や資金計画に影響を及ぼす内容がないか
マンション全体の管理を外部の管理会社へ委託していれば、仲介業者はその管理会社から上記項目に関する報告書を入手していますので、重要事項説明の前に見せてもらい確認しておくのがよいでしょう。
また、総会議事録も入手している場合がありますので、こちらも可能であれば確認しておきましょう。
最後に
私が宅建士になって初めて担当した重要事項説明のとき、買主様は居眠りをしていました。
「これで説明したことになるんだろうか?」
この思いから、ただ読むだけではなく、買主様が飽きないような説明を心がけるようになり、今では「説明が上手だった」「わかりやすかった」とお褒めの言葉を頂けるようになりました。
仲介手数料はけっして安くありませんし、むしろ高いと感じている人の方が多いのかもしれません。
これからも仲介責任の重みを感じながら仲介手数料を頂く分の仲介サービスを提供できるように努力してまいりたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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