引き続き、重要事項説明書のひな型を使って、私が実践している重要事項説明で仲介業者へ確認すべきポイントを書いていきますので、実際にその場面でご活用ください。
今回は、建物に関することや契約解除に関することを中心に書いておりますので、不動産売買を予定している方はぜひ参考にしてください。
宅地造成または建物建築の工事完了時における形状・構造等~住宅性能評価を受けた新築住宅である場合

このページは説明する項目が細かく分かれていますが、大きく分けると2つの説明項目になります。
- 建物に関する資料について
- 災害警戒区域や浸水想定区域について
先に、浸水想定区域については、別に記事を書いていますのでそちらをご参照ください。なお、物件が災害警戒区域や浸水想定区域に該当しているか否かだけではなく近隣にそのようなリスクが潜んでいないかも確認するようにしてください。
さて、建物に関する資料についてですが、下記のような状況は買主様の購入目的に影響を及ぼす内容ばかりですし、買主様の計画通りに建物を維持管理していけるのか、建替えできるのか、資金計画に影響が出ないか、これを意識して説明を受けてください。
- 3階建の物件なのに建築確認は2階建で受理されており検査済証も未取得だった
- 建築後に駐車スペースを住宅部分に変更していて延べ床面積の制限を超過していた
- 増築した箇所の登記申請が未了であった
- 「建築時の地積」と「改めて測量した地積」に差異が生じていた
- 防火設備等の定期検査を実施していなかったので、その後の検査で指摘事項が多かった
宅建士は建物に関する資料や調査結果の全てに目を通したうえで説明してくれているはずですが、できれば事前に資料を入手して買主様自身でも精査したうえで重要事項の説明を受けた方がいいかもしれません。
建物に関する資料や調査結果を買主様へ引渡してもらえる場合は、売買契約書の添付書類「物件状況等確認書(告知書)」にて売主様から説明がありますので、売主様側の準備が整っていればこの書類も重要事項説明前に確認させてもらいましょう。


なお、建築中やリフォーム工事中の物件を契約するときは、設計図や仕様書等を細かく確認して、後から「聞いていた話と違う!」という展開にならないようにしてくださいね。
取引条件に関する事項

ここからテーマが変わり不動産売買に関する内容の説明が始まります。
まず、売主様へお支払いする金額の説明がありますので、購入申込みの内容やその後の交渉結果と記載内容が一致しているか確認してください。
次に契約の解除(売買契約後に起こり得る状況とその進め方)について説明があります。これは、売主様と買主様の合意事項になりますので、ひな型の定型文で進めなければならないわけではなく特約等により違う内容で契約することもできます。
売買契約後に起こり得る状況のイメージはこんな感じです。
- 手付解除:売買契約後に売主様もしくは買主様が一方的に契約を解除する場合の話です。
- 引渡完了前の滅失・損傷による解除:売買契約後に自然災害等により物件が壊れてしまった場合の話です。
- 融資利用の特約による解除:売買契約後に買主様の融資審査が否決になり売買代金の支払いが難しくなった場合の話です。
- 譲渡承諾の特約による解除:土地権利が賃借権で、売主から買主へ賃借権を譲渡することについて地主の承諾を得られなかった場合の話です。
- 契約不適合による修補請求・解除:売買契約後に物件の瑕疵(不具合や欠陥)等が発見された場合の話です。
- 修補の遅滞を含む契約違反による解除:売主様もしくは買主様が売買契約において約束したことを守らなかった場合の話です。
- 反社会的勢力の排除に関する特約に基づく解除:売主様ならびに買主様が反社会的勢力であった場合、買主様が反社会的勢力に物件を使用させてしまった場合の話です。
ひな型の定型文の他にも別の解除条項が売買契約書に定められていれば、その内容が追記され説明を受けることになります。
私も契約解除になった案件を何回か仲介したことがありますので、明日は我が身と思い、売買契約後に起こり得る状況を想定しながら契約解除条項の確認をしてください。

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