引き続き、重要事項説明書のひな型を使って、私が実践している重要事項説明で仲介業者へ確認すべきポイントを書いていきますので、実際にその場面でご活用ください。
今回は、不動産の接道義務や埋設管に関することを中心に書いており、紛争事例の研修でもよく取り上げられる分野ですので、ぜひ参考にしてください。
特に道路は、その種類にもよりますが、役所で入手した資料のみを根拠に、道路種別、道路幅員、接道の長さついて、勉強不足・調査不足のまま説明を行う宅建士に担当されたことがありましたので注意してください。
敷地等と道路との関係

都市計画区域及び準都市計画区域内において建築物を建築する際は、建築物の敷地は幅員4m(特定行政庁が指定する区域においては6m。)以上の道路に2m以上接しなければなりません。ここでいう「道路」とは、単に通行の用に供されているというだけではなく、建築基準法に定める道路の種類に該当するものをいいます。
役所に保管されている資料は、作成された時期によって現況と相違している場合がありますし、中には説明の根拠として不適格な資料もあるので、優秀な宅建士は「現地調査」と「役所調査」を区別して正確な説明をしてくれるんですよ。
役所の資料に基づき前面道路幅員は4mと説明を受けたのに、引渡し後、現況幅員が4m未満であることが発覚し買主様の希望する建築プランが入らなかったという事例がありますから、この説明を受けるときは「現地を調べたのか?」必ず確認するようにしてください。
なお、敷地等の道路との関係は、都道府県や市区町村の条例により制限が付加されている場合があり、建築基準法上の道路に接している物件でも買主様が希望する建築プランが入らないかもしれませんので、とにかく注意深く説明を聞くようにしてください。
都市計画法、建築基準法以外の法令に基づく制限~飲用水・電気・ガスの供給施設および排水施設の整備状況

今でこそネット社会となり比較的調査を進めやすい時代ではありますが、年々増えていく不動産取引の対象となる法令の数…。
それぞれ、物件のある場所や買主様の購入目的によって該当する法令制限を説明してもらいます。
該当する法令制限の内容を端折る重要事項説明書を見かけることがありますので、制限の内容までしっかり確認するようにしてください。
次は「私道」に関する説明です。
前面道路を役所が維持管理している場合でも、登記簿上の所有者欄に私人が記載されていることがありますので、私道所有者やその範囲等について説明してもらいます。
私道は、その利用について私道所有者の承諾が必要となる場合があり、不動産売買においては、売主様にて「私道の通行および掘削に関する承諾書」を取得してもらい、買主様へ引き継いでもらう形が一般的ですので、決済条件も含めて理解するようにしてください。
そして、飲用水・電気・ガスの供給施設および排水施設の整備状況は、設備を利用できるか否かだけではなく、配管の敷設経路等も確認してください。
敷地等と道路との関係と同じで、資料が作成された時期によって現況と相違している場合がありますし、中には説明の根拠として不適格な資料もありますので、関係各所で入手した資料のみを根拠に配管の敷設経路について説明する宅建士は要注意です。
引渡し後に追加配管工事や配管トラブルが生じれば予期せぬ費用負担が生じますから、この説明を受けるときも「現地を調べたのか?」必ず確認するようにしてください。
そもそも道路にしても埋設管にしても役所や関係各所が保管している資料は、重要事項説明の添付資料として作られたものではないのです。

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